本日の一品

廉価だけど機能は満載のデジアナ文具、NeoLAB「Neo smartpen R1」

 手書きはタイピングよりスピードが出ないし、せっかく書いても検索性が低い。そんなデメリットをわかっていても、手書きしたほうが記憶に残ると考える人は一定数いる。筆者もそうだ。

 ありがたいことに、技術の進歩により「せっかく書いても検索性が低い」という課題は解消されている。アナログで筆記してデジタルで残す――それがデジアナ文具の醍醐味だ。

 NeoLABが開発する「Neo smartpen」(ネオスマートペン)もそのひとつで、この5月にシリーズ最新の「Neo smartpen R1」(以下、R1。シリーズについて触れる際に「Neo smartpen」を省略する)を発売した。軽くて低価格だという本製品のサンプルを提供いただいたので、使い心地などを紹介したい。

Neo smartpenで何ができるのか

 Neo smartpenは、ペン先近くにあるカメラセンサーが専用ノートに印刷してある独自パターン(Nコード)を読み取ることで、筆跡(運筆)を記録していくタイプのデジアナ文具だ。

 マウスやトラックボールなら、タテヨコの移動量を内部のセンサーで読み取ってマウスカーソルを動かしたり、左クリックボタンを押しながら描画したりすることができるが、Neo smartpenのカメラセンサーではNコードを読み取り移動量を把握する。

 ちなみに、Nコードのパターンは、1冊の専用ノート「Nノート」の全ページでユニークなものを印刷しているので、筆記の途中で別ページに移動しても、描画が重なることはない。

eo smartpen R1のペン先近くにあるカメラセンサー
遠目では印刷されていると気づかないNコード
寄ると独自パターンのNコードがNノートに印刷してあるのがわかる

 本体に記録した筆跡を取り出すには、スマートフォン専用アプリ「Neo Studio2」が必要だ。Bluetoothでスマートフォンとペアリングしておけば、次回以降、アプリ起動とNeo smartpenの電源オンで自動接続される。本体に保存したデータを取り込むかどうかは、ユーザーが選択できるので、すぐに書き始めたい場合など、ちょっと便利だ。

Neo Studio2アプリを立ち上げて、ペンマークをタップすると自動的に近くのNeo smartpenを検出して接続するかどうかを尋ねてくる(画像左)。接続しても自動的に取り込むわけではない。取り込みには多少時間がかかるので、この仕様はありがたい(画像右)

 アプリに取り込んだ筆跡データは、見たままの状態で画像(PNG)またはPDFとして出力することもできるが、共有することがないのであれば、アプリ内でそのまま保存しておくこともできる。そこに追加で手書きしたり、任意の箇所を選択してコピー・移動したりすることも可能だ。

 手書き文字をテキスト変換すれば、資料やメールなどに使い回ししやすい。ノートを検索する場合にも役立つだろう。このように、Neo smartpenシリーズは、アナログ筆記を二次利用しやすくするデジアナ文具なのだ。

手を出しやすい価格でも機能豊富

 とはいえNeo smartpenシリーズはちょっと値が張る。初代「M1」は1万5100円だし、LAMYとコラボした「LAMY safari all black ncode スマートペン」に至っては1万9400円もする。

 最も安価な「dimo」は8900円だがテキスト変換とスケジュール連動には非対応という具合に機能が限定されていた。最新のR1は、フル機能を使えるのに1万4800円だ。ちょっといい万年筆より売価が低く設定されているので手を出しやすいのではなかろうか。

 R1の特徴を紹介したい。スマートフォンとの接続はBluetooth 4.2(BLE)で行う。充電式で、満充電にすれば最大14時間の利用が可能だ。充電にはUSB Type-Cケーブルを利用する。替え芯はスタンダードD1タイプなので、文具店で容易に入手できる。

 ほかのシリーズでは、“キャップを外したら”、“グリップを握ったら”、“筆記を開始したら”センサーが反応して電源が入っていたが、R1では本体にあるボタンを押すことで電源が入る仕組みだ。

電源ボタン。長押ししてオンオフする
キャップの切り込みからはステータスインジケーターをチェックできるし、クルッと回せば電源ボタンにもアクセスできる

 また、フル機能版のほかのシリーズでは、本体内の記憶可能容量が30ページ以上あるのに対し、R1では「数ページ分」だ。センサーを非搭載にし、メモリーを減らすことで価格をおさえたようだ。

 実際に使ってみたところ、ゲルインキボールペンのような書きやすさを覚えた。ペン先がM1+のものより細く、スルスルと書ける。万が一、この書き味に不満を感じるのであれば、汎用的なD1タイプの替え芯を買ってくれば良いだけなので気が楽だ。

 筆跡自体は、ほかのシリーズのカメラセンサーと同様の精度だと感じたが、細かいところでは筆圧感知センサーがないようで、“抜き”や“入り”もすべて同じ太さで認識された。

1つ前のモデル「A1」との書き比べ。ノートに残る筆跡に対して、取り込んだものが、どちらもほとんど変わりないのがわかる
筆圧感知を検証した。上がR1で下がM1+で筆記したものを取り込んだ結果だ。M1+では“抜き”や“入り”まで再現している

 充電端子がUSB Type-Cになったのは地味にありがたい。ケーブルをいくつも用意する必要がなくなったからだ。軽量化されたことで、長く使っていても疲れなくなった、というのもうれしい改良点だ。

充電端子はペン尻にある。付属のUSB Type-Cケーブルを利用する
似たサイズの「M1+」との比較。M1+では22gだが、R1は17.8gだ

 筆圧感知などのセンサーが省略されているものの、使い心地が良く、アプリの持つ全機能に対応しているうえ価格をおさえている本製品。

 挑戦したかったけど価格がネックになっていた、文字さえ後で確認できれば筆圧など関係ないというような人にぴったりではないだろうか。軽くて携帯しやすいので、重くないデジアナ文具を望んでいた人にも向いているかもしれない。

製品名販売元価格
Neo smartpen R1NeoLAB1万4800円
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