ニュース
「AQUOS R10/wish5」発表、進化した“寄り添う”AI機能で他社との差別化を図る
2025年5月29日 18:07
2024年のAQUOSは大変化の年
発表会冒頭、Co-COO兼スマートワークプレイスビジネスグループ長の小林繁氏は「2024年のAQUOSはまさに大変化の年になった」と昨年を振り返る。AQUOS wish4について「法人にも導入いただいている。堅牢性やセキュリティ、トータルコスト、環境配慮など、企業が気にする内容をパッケージしたモデルになった」としており、法人ユースも「日本国内Androidスマートフォン8年連続ナンバーワン」に貢献できたと語る。
2025年のAQUOSスマートフォンについて小林氏は「絶好調なモデルをさらにブラッシュアップしていきたい」とコメント。「2025年深化するAQUOS」と銘打ち、機能や性能をより強化していくことを打ち出した。
正統進化したAQUOS R10
昨年発売したAQUOS R9について通信事業本部の本部長中江優晃氏は、デザインや松田優作起用のプロモーションにより、国内外でさまざまなアワードを受賞できたとし「私たちの新しい取り組みに大きな手応えを感じた」とコメント。AQUOS R10では、このブランドコンセプトを高め、完成度を極限まで高めて新しい価値を提供していくという。
中江氏は、同社の技術開発について重要なキーワードとして「半歩先」を掲げ、AQUOSシリーズのAIを「半歩先行くモバイルUX」と説明。ユーザーが「AIを使うためにAIを起動する」のではなく、ユーザーが使いたい機能で自然とAIを使っている「AIを意識せずに使う」ことを意識したAI導入を進めていると話す。中江氏は、カメラアプリの「影除去機能」や「AI電話アシスタント機能」を例に挙げ、ユーザーの日常動作をAIが助けられるような機能だとアピールする。
一方、オーディオビジュアル、カメラ機能では「生で観るより生々しい。」をキーワードに、その性能を紹介。
ディスプレイはピーク輝度3000ニトや、オリジナルがHDRでなくてもHDRの鮮やかさを再現するバーチャルHDR機能を搭載。あわせてオーディオではフルメタルBOXスピーカーを備えて、立体感の向上が図られたほか、低域と高域の音量を制御し小音量でも楽しめる機能を搭載する。
カメラでは、引き続きライカカメラ監修のカメラシステムで、AQUOSシリーズの画質エンジン「ProPixPro」が搭載。メインカメラには、1/1.55インチの光学式手ぶれ補正搭載の低ノイズセンサーを採用しているほか、14chスペクトルセンサーを備えることで、ユーザーが見た色味により近い撮影体験ができる。また、AQUOS R9比2倍の情報量を処理する「AI合成処理技術」を備えディテール感を強化。動画撮影では、Dolby Vision技術を取り入れた動画撮影モードを搭載し、映画クオリティさながらの動画撮影体験ができる。
“初めてのスマホ”や“海外展開”が意識された「AQUOS wish5」
同日に発表された「AQUOS wish5」。通信事業本部パーソナル通信事業部事業部長の川井健氏はwishシリーズのコンセプト「つよくてかわいい」を取り上げ、耐久性や長く使える安心感、心地よいデザインを取り入れ、エントリーモデルでは「最も好評いただいている」とアピール。今回のAQUOS wish5でも、このコンセプトをアップデートしてコンセプトの完成度を高めたとし「より幅広い世代、よりグローバルを意識して仕上げた」と、ポイントを話す。
耐久性の面では、国内エントリーモデルで初めて「IP69」に対応。80℃のお湯でも耐えられ、「より強靱で信頼できる耐久性を備える」とアピールする。
また、初めてスマートフォンを持つ“ファーストスマホ”としてのユースケースを踏まえ、「防犯アラート機能」を搭載。5秒間本体を振ると発報し、大音量のアラームに加え緊急連絡先への通話発信と位置情報をSMSで送信する機能を備える。
ディスプレイは、先代モデル(AQUOS wish4)から引き続き大画面の6.6インチディスプレイが採用され、AQUOS wish5からはフロントカメラ部分がパンチホールになったほか、リフレッシュレートが120Hzとなり、SNSアプリのスクロールなどがなめらかに表示される。このほか、日本語と中国語ではUDフォントを採用し、可読性向上が図られており、日本だけでなく、展開する台湾市場を意識した機能が導入されている。
本体カラーは、シリーズ最多の5色展開で、川井氏は「文房具から着想を得たポップでありながら落ち着く色合いをそろえた」とコメント。カラーラインアップの名称を「聞くだけで、その情景のイメージがわくようなものにこだわった」と説明する。
このほか、ユーザー好みでカスタマイズできるテーマ機能を備える。
SIMフリーモデルも展開
AQUOS R10は、日本国内でNTTドコモとソフトバンクのキャリアモデルとSIMフリーモデルが7月上旬以降に発売される。SIMフリーモデルの価格は、12GB+256GBモデルが10万円程度、12GB+512GBモデルが11万円程度。このほか、台湾、シンガポール、インドネシアでも発売される。
AQUOS wish5は日本国内でNTTドコモとワイモバイルのキャリアモデルとSIMフリーモデルが6月下旬以降に発売される。SIMフリーモデルの価格は、3万円程度。このほか、台湾とシンガポールでも発売される。
主な質疑
ここからは主な質疑をご紹介する。回答者は、Co-COO兼スマートワークプレイスビジネスグループ長の小林氏と通信事業本部長の中江氏、パーソナル通信事業部長の河合氏、商品企画部長の清水寛幸氏。
――AQUOS R10のチップセットが据え置きの理由は?
清水氏
チップセットは非常に重視している。Rシリーズでは、価格と性能のバランスが非常に重要だと考えこの構成としている。性能面でもsenseシリーズに搭載のSnapdragon 7s Gen 2と比べてCPU性能が約2倍、GPU性能が約4倍となっている。AQUOS R10の選定において、最も適した最高の選択であると思っている。
――AQUOS wish5の防犯センサー、誤動作が心配。
清水氏
加速度センサーを使って検知しているが、誤動作しないようにという点で非常に気を遣って調整している。ポケットに入れて走っても鳴らないようにしっかりと調整しているので、安心して欲しい。
――AQUOS R10 proはいつ登場する?
中江氏
Proモデルは、AQUOSシリーズの中でも大事にしているラインアップ。進化したと驚きがないとみなさんの前で紹介できない。
今どうやったら次のproシリーズを出せるのかを考えている。具体的な時期は明言できない。
――Pixelシリーズとの差別化はどのように図っていくか?
中江氏
グーグルとはパートナーでありながら、ライバルでもある関係だが、Pixelで培ったものはAndroid OSでもかこって検索などに反映されている。商品の差別化という面では、カメラであったり半歩先を行くAI機能などで差別化を図っていく。
――海外展開の手応え
中江氏
昨年の結果を見ると、特に台湾で大幅に出荷台数が増えている。数自体は少ないが、グローバルで戦っていくために、ブランド力の強化などやることは多いが、一定の手応えがある。
台湾では、日本のブランドやデザインなどが評価されていると感じる。
――AIの考え方について
中江氏
AIの持つ側面の1つに「人ができないことをやってしまう」ということがあり、創造的な使い方、驚きを与えるものがあるが、我々が「半歩先を行く」という風に言ったのは、AIは手段であってユーザーが「何か知らないけどなんかすごいものができた」という驚きよりもユーザーに寄り添うといった点で開発している。あっと驚くAIもおもしろいと思うが、まずは実用的なAIに優先順位を付けて開発している。
清水氏
カメラの「影の除去機能」など、カメラの編集から自然に利用できるフローで、ユーザーが機能を使いこなすハードルを下げて、広い人に使ってもらえるという点に目を向けて、これからも提供していきたい。
――同社のAI群に名称を付けてアピールしないのか?
中江氏
シャープでAI機能を統合して見せるということはしていない。ユーザーの動作として「AIを使って何かをする」というより「やりたいことに対してAIを活用する」とAIを使う前にやりたいことがあると思っている。ユーザーの動作の中にAIを入れていく方がユーザーにとって便利な使い方だと思っている。
――AQUOS R10のAI機能が今後AQUOS R9に導入されることはないのか? ハードウェアで大きな差異がないように見えるが。
清水氏
多くの機能を導入するのは難しい。チップセットやメモリー構成は同じでも、それ以外に必要な技術があり、カメラの合成処理など多くの機能をアップデートで導入することはない。
――AQUOS wish4で画面サイズが大きくなったが反響は?
清水氏
グローバルでは非常に受け入れられている。
日本市場でも、年齢層の上の方から「文字や写真が大きく見やすい」という声や、ファーストスマホとして小学生の保護者の方から「画面が小さいと目を悪くしそう」という心配な声もあり、そういう面で好評いただいている。
――miyake designの評価について
中江氏
今回も継承しているが、AQUOS R9のデザインは私も気に入っている。デザインを変更する必要性が今のところなく、グローバルでアワードを受賞するなど、内外の評価もある。
今回は、デザインを継承しつつ、中味(性能や機能)を進化させる戦略をとった。