iPhone駆け込み寺
iPad Airと無印iPadが新モデルに更新! いまiPadを買うならどれを選べば良い?
2025年3月5日 20:04
アップルからiPadシリーズの新モデル、「iPad Air(M3)」と「iPad(A16)」が発表された。発表と同時に予約注文を開始し、3月12日に発売となる。
いずれのモデルも、チップセットが更新されただけで、前モデルとデザインやチップセット以外のスペックを引き継いでいる。しかしこの円安時代でも前モデルから価格は据え置きで、それぞれスペックアップとともにお買い得度が増している。
では、いまiPadを買うならどのモデルを選ぶべきなのか。新モデルを簡単に紹介しつつ、既存モデルを含めた選び方について解説する。
コストパフォーマンスの高いiPad Air(M3)
今回発表されたiPad Air(M3)は、昨年発売のiPad Air(M2)の後継モデルだ。iPadシリーズの中ではスタンダードモデルの位置づけで、Proモデルに近い機能も搭載しながら、Proモデルよりも大幅に安くなっている。高い性能と豊富なアクセサリー、11インチと13インチの適度なサイズにより、ビジネスアプリ利用から動画視聴、電子書籍、ゲームなどのエンタメアプリまで幅広い用途に適し、ノートパソコンの代用としても、スマートフォンの補完としても使いやすくなっている。
搭載チップセットがM3に更新されたが、そのほかのスペックやサイズは前モデルのiPad Air(M2)から大きな変更はない。M3もM2も、搭載システムメモリーは8GBで、CPUは8コア、GPUは9コアだ。しかしM3ではレイトレーシングのハードウェア処理が追加されていて、レイトレーシング対応ゲームでは大幅にパフォーマンスが向上する。また、M3のメディアエンジンはProRes動画にも最適化されているが、iPad Proと違ってProRes動画の撮影はできない。
製品バリエーションとしては、サイズが11インチと13インチの2種類、Wi-FiモデルとWi-Fi+Cellularモデルの2種類、ストレージサイズは128GB/256GB/512GB/1TBの4種類、カラーバリエーションはスペースグレイ/ブルー/パープル/スターライトの4種類。
最安モデルの価格は、11インチ/128GB/Wi-Fiモデルで税込9万8800円。前モデルから価格は据え置きで、iPhone 16eの最安モデル(128GB)と同じ。ちなみに11インチ/128GB/Wi-Fiモデルのアメリカでの価格は税抜599ドルで、1ドル150円程度のレートで価格設定されている。
Wi-FiモデルとWi-Fi+Cellularモデルが用意され、価格差は2万6000円。Wi-Fi+Cellularモデルは前モデル同様、eSIM専用でSIMカードスロットは搭載しない。
サイズは11インチと13インチの2種類が用意される。11インチモデルは2360×1640ピクセル、13インチモデルは2732×2048ピクセル。同サイズのiPad(A16)と同じだが、同サイズのiPad Pro(M4)よりはわずかに小さい。
背面カメラは12MP広角のシングル仕様。前面の12MPセンターフレームカメラは、超広角仕様でビデオ通話などでは自動的に人物周辺をクロップズームして追跡する。
通信機能も前モデルのiPad Air(M2)を踏襲していて、Wi-Fi 6Eに対応する。USB-Cポートを搭載し、充電のほか、USB 3(最大10Gbps)とDisplayPort出力にも対応する。前モデル同様、Face IDには対応せず、サイドボタンにTouch IDを内蔵する。
本体のサイズは、11インチが247.6×178.5×6.1mmで460g。13インチが280.6×214.9×6.1mm、Wi-Fiモデルが616g、Wi-Fi+Cellularモデルが617g。サイズに関してはiPad Air(第4世代)から変わっておらず、周辺機器にはある程度の互換性がある。
iPad Air(M3)と同時に、iPad Air用のMagic Keyboardも発売される。こちらは磁石で貼り付けるキーボード・トラックパッド一体型のスリーブジャケット。iPad Air(M3)だけでなく、M2や第5世代、第4世代のiPad Airとも互換性がある。こちらの価格は11インチが4万6800円、13インチが4万9800円。
なお、M2までのiPad Airと第4世代までのiPad Proを対象としたMagic Keyboardとは別製品となる。互換性については不明だが、おそらくiPad Airのシングルカメラ仕様に合わせ、カメラ部の穴が小さく変更されたのが新製品だと思われる。
最安モデルのiPadはさらにお買い得に
iPad(A16)は2022年秋発売のiPad(第10世代)の後継モデル。iPad(A16)の最大の特徴は、なんといってもアップルの現行ラインアップで最安となる価格設定となる。これにより、学生でも購入しやすく、教育や業務などの分野で大量導入しやすくなっている。
一方でほかのiPadに比べると、チップセットが世代遅れで、ディスプレイの色域や表面コーティングなどの仕様も簡略化され、Apple Pencil Proにも対応しないなど、スペックがやや抑えられている。
最低価格は128GBのWi-Fiモデルが5万8800円。前モデルの64GBのWi-Fiモデルで5万8800円(初出時価格は6万8800円で2024年5月に価格改定)だったので、ストレージ容量の増加を加味すると、実質的な値下げともなる。
なお、アメリカでの最低価格は128GBのWi-Fiモデルで税抜349ドルなので、日本での価格は1ドル約153円の設定。日本円でもそこそこに安いモデルだが、インフレの進んだアメリカではかなり安い気軽なデバイス扱いで、たとえばゲーム機のNINTENDO Switch(有機ELモデル)のアメリカでの価格が同じ税抜349ドルだ(同製品は日本では3万7980円)。
現行のアップル製品ラインアップでは、2023年からの継続モデルであるiPhone 15と並び、Apple Intelligenceに対応していないモデルとなる。次に安いiPad mini(A17 Pro)は128GBのWi-Fiモデルで7万8800円だが、そちらはApple Intelligenceに対応している。
基本的には前モデルのiPad(第10世代)のサイズやスペックを踏襲するが、チップセットがA14 BionicからA16へと2世代更新された。ディスプレイサイズのカタログ表記は10.9インチから11インチへと変更されているが、解像度やピクセル密度などは変わっていない。Face IDには対応せず、前モデルやPro以外のほかのiPadと同様、サイドボタンにTouch IDが内蔵されている。
Wi-FiモデルとWi-Fi+Cellularモデルが用意され、価格差は2万6000円。Wi-Fi+CellularモデルにSIMカードスロットは搭載されず、eSIM専用となっている。前モデルではnanoSIMカードスロットが搭載されていたが、これがなくなったことで、iPadは全モデルでSIMカードスロットを搭載しなくなっている。
バリエーションとしては、Wi-FiモデルとWi-Fi+Cellularモデルの2種類、ストレージは128/256/512GBの3種類、カラーバリエーションはブルー/ピンク/イエロー/シルバーの4種類。
iPad(A16)は前モデルまでのサイズやデザイン、チップセット以外の仕様を踏襲しているので、キーボード付きケース(Magic Keyboard Folio)やApple Pencil、スタンドなどを流用でき、教育や業務の現場において旧モデルから更新しやすくなっている。
その反面、搭載プロセッサーが古い世代なため、Apple Intelligenceに対応しないなど、ほかのラインアップに比べると性能が低く、iPadOSのサポートも早い段階で打ち切りになると予想される。
iPadを選ぶには、まずサイズを決める
ここからは旧モデルを含めたiPadの選び方を解説する。まずiPadを買おうというときは、もっとも重要な要素であるサイズから決めるのがオススメだ。iPadには13インチ、11インチ、8.3インチの3種類がある。できれば店頭などで実機のサイズを確認するべきだが、ここではサイズの選び方の指針をお伝えしよう。
いろいろな場面でノートパソコンのように使いたいなら、11インチがオススメだ。11インチモデルはキーボード付きの純正ジャケット「Magic Keyboard」を着けることで、卓上でノートパソコンのように使いやすい。本体重量はモデルによるが444~481gと比較的軽量で、移動中にちょっと座って取り出す、というような使い方もしやすい。しかしMagic Keyboardは600gくらいするので、合わせるとちょっとしたノートパソコン並みの重さになる。
11インチのアスペクト比(画面の縦横比率)はいずれのモデルも約1:1.44で、印刷物に使われる白銀比(1:1.41)に近く、電子書籍や書類の閲覧に向いている。16:9(1:1.78)のディスプレイに比べると、動画再生時に黒枠が生じて画面サイズをやや活かしきれないが、16:9より縦に広いので、Webブラウザやメール、各種ビジネスアプリは使いやすい。
可搬性を重視し、場所を選ばずに使いたいなら、8.3インチがオススメだ。重量は約300g、幅は約135mmと、片手で持ち上げやすいサイズ感だ。立ったままでも、左手で持って右手でタップ、といったスタイルで使いやすい。ただし歩きながらの利用や人通りの多いところでの利用は避けよう。落としやすいし、落としたときのダメージもデカい。なお、キーボード付き純正ジャケット製品はない。そもそもほかのiPadよりやや小さいので、卓上でノートパソコンのように使うというより、手で持ち上げ、顔面に近い位置で使うのに向いたiPadでもある。
8.3インチのアスペクト比は約1:1.52(≒2:3)で、iPadとしてはもっとも細長いが、16:9ほど細くはないので、やはり電子書籍に使いやすい。また、軽くてコンパクトなiPad miniは、画面の縦横を切り替えながら(持ち替えながら)使いやすいので、縦長・横長どちらのコンテンツにも適用しやすい。
13インチは自宅や職場など、固定環境をメインで使う人にオススメだ。13インチモデルは600g前後と、カバンに入れて持ち運ぶなら苦にならない重さだが、たとえば移動中にベンチに座って取り出すようなシチュエーションでは、11インチや8.3インチのような気軽さがなく、卓上以外での利用にはあまり向いていない。卓上以外でも使いやすいのがタブレット端末の魅力なので、初めてiPadを買う人には13インチはオススメしにくい。
卓上で使うにしても、少しでも大きなサイズが欲しいという業務用途向けだ。しかしデザイナーやイラストレーター、漫画家、設計者など、Apple Pencilも使うような仕事においては最適なサイズだ。
ちなみに13インチのアスペクト比は約1:1.33(≒3:4)で、iPadではもっとも太い。16:9の動画再生などにはやや向かないが、ビジネスアプリには適しているし、iPhoneのカメラのアスペクト比に一致するので閲覧やレタッチ作業にも向くし、Apple Pencilでイラストや図を書くときも使いやすい。
どのiPadにするかはコストで選ぶ
前述のサイズ選びで8.3インチが良い、というのなら、iPad mini(A17 Pro)しかない。悩む必要はない。
11インチだとiPad(A16)かiPad Air(M3)、iPad Pro(M4)の3つから、13インチだとiPad Air(M3)かiPad Pro(M4)の2つから選ぶことになる。
iPad(A16)はコストの安さが魅力だが、今回発表された最新モデルでもチップセットは2023年秋初出のA16とやや古く、OSサポートが早めに打ちきられると予想される。短サイクルで買い換える人向けで、長期で考えるとコスパが……と言いたいところだが、最安5万8800円なので、2~3年で使い潰すつもりで買うのもアリな選択肢だ。
実際には3年よりも長く使えるし、将来的に別のiPadを買っても、リビング用とかベッドサイド用とかセカンドディスプレイ用とかで使い回せるので、iPadを使いこなせるユーザーにとっては無駄になりにくい。初めてiPadを買う人にも、子どもに使ってもらうのにも向いている。
iPad Pro(M4)はというと、機能的にはスゴいが、価格もスゴいので、本格的なクリエイティブ用途に使う人にしかオススメできない。
たとえばディスプレイの色域スペック上はiPad Airと同等なものの、有機EL採用でコントラスト比はケタ違いに高い。また、可変フレームレートのProMotionテクノロジーに対応し、1TB/2TBモデルは特殊な反射防止コーティング「Nano-texture」仕様が選べる。非常にハイスペックで、「商業映像の撮影現場で確認・簡易編集する」といった使い方ができるが、そのくらいの尖った用途でないと、iPad Airとの差がつきにくい。
iPad ProはiPadシリーズとしては唯一、Face ID対応のTrueDepthカメラを搭載する。しかしiPad ProのFace IDはマスク着用時に制限があるので、場面によっては微妙に使いづらい。しかしマスク非着用時なら、キーボードの任意のキーを押すだけでスリープ解除&認証ロック解除できるのがかなり便利だ。
有機ELを採用するためか、同サイズのiPad Airと比較してもiPad Proはやや薄くて軽量だ。しかし460gか444gになるという程度なので、軽量化のためだけにiPad Proを選ぶのはオススメできない。
普通の用途であれば、iPad Air(M3)がオススメだ。M3は世代が古いようにも見えるが、そもそもMacにも使われるM系チップセットは、同時期のA系チップセットとは比べものにならないくらい高性能で、1世代古いくらいでは何でもない。
iPad Airはシステムメモリー容量が公表されていて、8GBを搭載している。Apple Intelligence対応端末の最低ラインなわけだが、これだけ搭載していればOSやアプリが進化しても、なかなか重たく感じるようにはならないだろう。
M3と8GBメモリーを搭載しているのに、最低価格がiPhone 16eと同じ9万8800円というのは、非常にコスパが良い。幅広い用途で長い期間使い続けられるオススメモデルだ。
ストレージやセルラー、カラーの選び方は?
ストレージ容量は、iPad Pro(M4)は256GB~2TBの4種、iPad Air(M3)は128GB~1TBの4種、iPad mini(A17 Pro)とiPad(A16)は128GB~512GBの3種から選べる。
iPad Pro(M4)だけ、ストレージサイズに応じてCPUコア数(9コア→10コア)と搭載メモリー量(8GB→16GB)が変わるので、たとえば11インチのWi-Fiモデルだと512GBの20万4800円から1TBの27万2800円へと、一気に価格が跳ね上がる。
動画を編集するとか、動画をダウンロードして保存しておくとかでなければ、ストレージ容量は256GBあれば基本的には十分で、ストレージ整理ができるなら128GBでもストレスなく使える。動画以外にストレージを使う用途としては、ゲームアプリがあるが、ゲームはその時期にプレイしているものだけ残しておいて、プレイしなくなったら消す(またプレイしたくなったら再ダウンロードすれば良い)ようにすればそこまでストレージを圧迫しない。
Wi-FiモデルかWi-Fi+Cellularモデルかは、自宅や職場でノートパソコンのように使うだけなら、Wi-Fiモデルで問題ないが、外出先でも使う頻度が高いなら、Wi-Fi+Cellularも魅力的だ。
メインのスマホがiPhoneなら、iPadやMac側からの操作でテザリング接続できるので、Wi-Fiモデルでも外出先で使いやすいし、別途回線契約が不要なので安上がりだ。しかしWi-Fi+Cellularモデルは常時接続になるので、接続操作が不要なだけでなく、カバンに入れているときも各アプリのプッシュ通知を受け取れたり、クラウドと確実に同期できたりと、いくつかの優位点がある。出先での利用が多いビジネスマンは悩みどころだ。
カラーについては、これはもう好みで選ぼう。iPad Proだけはシルバーとスペースブラックと地味カラーのみだが、ほかのiPadは4種類のカラバリがあり、iPad(A16)はやや派手なカラーが用意されている。ただ、ジャケットケースなど周辺機器のカラーは限られているので、そこに合わせるなら、あまり派手な色にしない方が良い、という考え方もできる。
どのiPadが買いなのか?
今回発表されたiPad(A16)は、やはり価格が安いので、お試しでiPadを使ってみたいエントリーユーザーにオススメだ。ただしiPadを使いこなせるようになると、Airなど高機能なモデルに買い換えたくなるので、周辺機器は両方に互換性があるものを優先するべき……だけどキーボードが悩みどころではある。
同じく今回発表されたiPad Air(M3)はというと、最低価格が10万円を切りながらもM3搭載と高性能で、幅広い人にオススメできる。すでにiPadを使いこなしている人の買い換え先としても良いし、ノートパソコンを買いたいけどパソコンアプリにこだわる必要がない、という人にもオススメだ。長く使えるモデルだが、逆に言うと長く使わないと元を取りにくいので、iPadが自分に馴染むかわからない、という人にはオススメしにくい……が、中古でも高く売れるのがiPhone/iPadなので、初iPadで選んでも間違いではない。
iPad mini(A17 Pro)はというと、この絶妙なサイズ感を求める人には唯一無二のデバイスである。iPad mini(第5世代)などホームボタン搭載モデルからの買い換えにも良いタイミングだ。11インチや13インチのiPadを持っていても、iPad miniを併用する価値はある。iPhoneの画面が小さいと感じる人は、PlusやMaxに買い換えるのではなく、iPad miniを併用するのも良い。
iPad Pro(M4)はというと、かなり高機能かつ高価なので、使いこなせる人は限定される。ほとんどの人はiPad Air(M3)で十分だ。iPad Airや古いiPad Proを使っていて、さらなるパワーを手に入れたい人向けである。
というように、iPad Pro以外はオススメできるラインアップだ。筆者の個人的な考えだが、いまタブレット端末を使ってない人は、スマートフォンを買い換えるよりiPadを買った方が生活や仕事の利便性や快適さが向上させられる。スマートフォンの買い換え予算をiPadに回すのもオススメだ。